マンガ版ツァラトゥストラはかく語りき第1章 神は死んだ

2109年01月19日 スターシードの呪縛からの開放???
2109年01月20日 昨日の続き「神は死んだ!」 の続き
マンガ版『ツァラトゥストラはかく語りき』を書き残すことに…

サッカーに大好き、将来サッカー選手を夢見ている少年カツキが
謎の老人ツァラトゥストラのやり取りから成長していくマンガ!

第1章 - 神は死んだ -
カツキ5年生。サッカーの試合から始まる。
チームの仲間:ちぇーとられたーっ  速ーよな アイツ
カツキ:お前らなに笑ってるんだよっ ちゃんと走って止めろよっ
チームの仲間:なんだよ カツキちゃんと走ってるっての
そーだよ あいつが速すぎるのっ
カツキ:ふざけんなっ マジメにやれっ!
カツキの心の声:くそっ アイツら…なんで真剣にやんないんだよぉっ
強くなりたい 誰よりも強くなりたい!! 

・・・中略。

謎の老人ツァラトゥストラが突然現れ
君には素質がある。 これからも頑張りなさい。

・・・中略。

カツキは、謎の老人ツァラトゥストラのお家に…
カツキ:オレ プロのサッカー選手になれますか?!
謎の老人ツァラトゥストラ:…なんだ それは?
カツキ:へ? だっておじさん オレのこと 素質あるって…
謎の老人ツァラトゥストラ:それより君は よくあの教会へ行くのか?
カツキ:だーって いままで神様に「チームのやつらをやる気にさせて下さい」って100回以上頼んだのにぜーんぜん聞いてくれないしさっ
謎の老人ツァラトゥストラ:はははっははははー
残念だが あと千回 一万回祈っても 君の願いはかなわんだろう
神は死んだ
神はもう死んだ…とうの昔に
だから いくら祈っても なにも返ってはこない。
カツキ:まさかっ そんなことないよっ!
謎の老人ツァラトゥストラ:ならば教えてやろう
これをかけてみなさい。
と言って、サツキに3Dメガネのようなものを渡す。

・・・中略。

生き物の世界は弱肉強食だ。
弱い者は強い者に食われる!
しかし 強い者にもまた同族間の争いがある!
強い個体は弱い個体に勝ち
競争に負けた個体は餌場を失い死んでいく―

謎の老人ツァラトゥストラ:それが全ての生き物の常識だ!!
それは人間とて例外ではない。

紀元前586年 中東にあったユダ王国という国が
巨大なバビロニア王国に占領された。
首都エルサレムの町や神殿は破壊され
王も市民も奴隷として首都バビロンへと連れ去られた。
国中の人たちが奴隷に…
※ バビロン=現在のバクダッドの南方90㎞の地点。
連れ去られた人々は奴隷として過酷な労働に駆り出された。
さあ!さっさと働けっ奴隷ども!
動けないのなら今すぐに死ねっ!
なぜ我々がこんな目に遭わねばならんのだっ
ちくしょうっバビロニアの奴ら 絶対許さんっ!
でも…俺たちには奴らを倒す力なんて…ない…
なあ…もしかしたら…神様が助けてくれるんじゃないか…?
あぁ…聞いたことがある!
数百年前にモーセがシナイ山で神様と契約を結んだって
そうか…!我々には神との契約があるっ!!
この世を作った唯一絶対の神が救世主を使わし
我々ユダヤの民だけを救ってくれるはずだ!
そうだっ救世主がきっと来る!
みんなで祈りましょ!
神様に私たちの声が届くように!!
我らの神に!!

謎の老人ツァラトゥストラ:これが『神』が生まれた瞬間だ。
生まれたんだよ『神』は―彼らの心の中に!!
カツキ:人間が作ったの?!
謎の老人ツァラトゥストラ:そうだ 『神』とは虐げられた人間が救いを求めて― 

自らの心の中に創り出した幻想だったのだ。
苦難の中で生み出された“神”
今に見てろっ 神は我らに救世主をつかわし
貴様らを必ず倒してくれる!!
そして ついに…救世主が現れたのだ!!
ところが…救世主イエスは強くて悪い支配者を倒してはくれなかった。
それどころかとんでもないことを言い出したのだ!
汝の敵を愛せよ!
弱き者は幸いなり
貧しき者は幸いなり
病める者は幸いなり
なぜなら天国は彼らのものだから
弱くても神を信じていれば 死んだあとに天国に行ける。
強くても威張っていると奴らは地獄へ落ちる。
その教えは救世主が権力者に殺されたあとも
「弱き者」たちの間に広まり続けた。

そして―救世主の死から360年後
とうとうローマ帝国の皇帝までがキリスト教徒になり
キリスト教はローマ帝国の国教になった。
※ 古代ローマ帝国テオドシウス1世とか
事実上ヨーロッパ全土がキリスト教の国になったわけだ
やがてヨーロッパ人が世界進出し
南米など行く先々でキリスト教を広めた結果…
ついにキリスト教は「世界宗教」となったのだ!

カツキ:ほらっ!やっぱりキリスト教って凄いんだねっ!!
謎の老人ツァラトゥストラ:…なにかおかしいとは思わんか?
ギロッ!
生きものの世界は弱肉強食で成り立っていたのではないか?
人間だって生き物だぞ?
カツキ:あっ ほら!
人間はほかの生き物とは違うんだよ!
「汝の敵を愛せよ」だもん!!
謎の老人ツァラトゥストラ:ほう…でじゃサッカーではどうなる? 

カツキ:サッカー?
俺の敵を愛す…ってこと?
カツキの心の声:ボール コロコロ…
どうぞ どうぞ ボール どーぞ譲ります
いえ そちらこそ どーぞ
カツキ:そんなのサッカーじゃないじゃんっ!
謎の老人ツァラトゥストラ:サッカーは真剣勝負して強い方が勝つもの!
弱い者が強い者に食われ死んでいく
強い者が弱い者を倒して勝ち進む
それが世の摂理ならば…
「汝の敵を愛せよ」…とは?
神様がウソを言ったのか?
カツキ:そ…そんなこと言ったらママに叱られるよっ
神様はウソなんか言わないと思うっ!
謎の老人ツァラトゥストラ:ではウソを言ったのは誰だ?
弱き者は救われ強き者は地獄に落ちる――と
カツキ:だからさっスポーツと人間の人生は違うんだよっ!
謎の老人ツァラトゥストラ:
そうかな? 

キリスト教がローマ国教になってから1300年以上が経ち
時代はイギリス産業革命
侵略した国の王は力の強さで 人間を奴隷として支配したが
労働者は者のようにこき使われたが
奴隷のように死ぬことはめっきり減って
時代が新しくなると資本家が経済力の強さで
人間を労働力として支配し始めた
人間は苦労や争いを避け
自分だけが幸せであれば良いと考えるようになった
一方で神の教えを伝える教会もまた金集めに必死になり
あげくに仲間割れを始め
どちらが「強い」のかを決める戦争まで起こした
貧しきものは犯罪に走るか野垂れ死に
それ以外の大多数の人間は己を守ることのみを考えて生きる。
もはや誰も神の教えを本気で信じちゃいない
いや 神様なんて初めからいないんだと人々は気づき…
こうして…

謎の老人ツァラトゥストラ:神は死んだ……のだ。
カツキ:そんなっ 神様がもともといなかったなんて…!!
謎の老人ツァラトゥストラ:うすうすわかってはいても
人間はついつい神を信じたくなってしまう
だから今も祈り続ける者は大勢いる
昔はもっと切実だった
「恨み」や「強者への憎しみ」の感情を
「ルサンチマン」というが――
古代の弱者たちはこの「ルサンチマン」をかかえ
自分たちこそ救われるべきだ!
と考えて 心の中に「神」を生み出した
強い奴らにはどうしても敵わない
一生弱いまま生きていくしかない
そうなったら あの世では神様が救ってくれるとでも
思わないと人間の心は持たなかったのさ
強い者にはどうしても敵わない…一生弱いまま…
どうかな?ぼうや
あと何百回祈っても望みは叶わんぞ
カツキ:神様のことはよくわかんないけど…
俺 サッカーで一生弱いなんてイヤだ!!
考えてみる!
祈るだけじゃなくて 俺が考えてみる!! 

…つづく